あさまだき日向葵
「お邪魔します」
「はは、はい」

玄関にはまだひまわりがある。もちろん生け替えたものだとは思うけど。

「何飲む?」
「あ! えっと、これ」
と、紅茶の袋を差し出した。あ、今渡したらこれ飲みたいって言ったみたいだ。自分のために持ってきたみたい。

「いいのに。でも、貰うね、ありがと」
「……ひまわりの紅茶なんだって。皆さんでどうぞ。少ないけど」
「へぇ、飲もう。アイスも行けそう」
「あ」
私もいいのかな?
「何?」
「私も飲んでいいの?」
「はは、何だそれ。入れる」

しばらくすると、前にグラスが置かれる。普通のアイスティーより、色が薄い。さっそく口に含む。
あ、ほんのりお花の香りが鼻に抜けた。フルーティーだ。

「お、おやつじゃないぞ?」塔ヶ崎くんがそう言う足元にはパーシモンとフェニックス。

「もう体調はいいの?」
そう言うと、私の膝に乗ってくる。

「あ、悪い。毛つくけど、その服……新しいのに」
「いーよ、いーよ。ねえ?」
可愛い。ゴロゴロ言ってる。

「もう体調は完治。だから、家じゃなくてもいいんだけど、暑いしな」
「暑さに弱いよね……塔ヶ崎くん」
「……まあ」

……クッキー。どうしよう。出すなら今。出すなら今。

「あ、ダメよ。フェニックス、それはお腹痛くなっちゃう」
膝の上のフェニックスが紙袋をガサガサ、手(前足?)で開けようとする。
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