あさまだき日向葵
「聡子の相手、俺かもしんないじゃん」
「ぶっ」

ひまわり、ひまわりティー!吹いてしまった。
「そ、そんなわけないでしょう?」
「何で?」
「先のことなんてわからないし!」
「そうだね。じゃあ、そうかもしれないね」
「そう……とは」
「俺《《かも》》しれないってこと」

ああ、何か今、にょきにょき唐草模様の蔦が伸びたような気がした。
まさか。

ドッキドキしていたら、
「本題、だけど……」
今まで笑ってた塔ヶ崎くんが真剣な目をした。

「本題……」
って、何だろう。

「うん。聡子が俺のこと避けてたの、元カノのこと、だよな?」

……避けてたの、やっぱり気づいてたよね。
「うん。気づいてた、よね。ごめん。感じ悪くて」
「うん、聡子、朝は塾ないじゃん」
「知ってたの?」
「……予定表、送って来てるだろ、俺に。だから、終わる時間に迎えに行けたんだけど」

……わあ!本当だ。そうだ、写真送ってた。あれに塾の名前も授業終わりの時間も書いてる。……ああ、何でこんなに頭が回らなくなっちゃうんだろう。

「やっぱり、ちゃんと言っとこうと思って。流せばいいかなって思ったけど。何とも思ってないから。向こうも彼氏いたし」

彼氏……じゃないけど。そうだね、彼女の方を心配してるわけじゃない。何が嫌なんだろう、私……。


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