あさまだき日向葵
「本気そうだから、怖いわ」
「あら、本気よ? その時々何があるかわからないけど、今は本気。ね? だから安心して」
「あはは! 何かちょっと安心しちゃうから不思議」
「安心して欲しくて言ったのよ。なんせ日々変わるわよ。価値観とか、それによる考えとか。だから、みんな出会って別れるのでしょ。続く関係も、もちろんある」
「わかる気がします、その価値観の変化」
「そ、特に恋愛ね。相手に求める価値観、変わっていく」

「へぇ、大学生的にはどうなの? 参考までに教えて」
塔ヶ崎くんが大学生に興味を持ったことに少し引っ掛かったけれど、私も気になる。

「以前はね、身体能力の高い人。その前は色白。その次は鼻がすっとした人。手の大きな人。今は耳の形が綺麗な人!」

「聞くんじゃなかった。それ、その時の男の特徴だろ?」
「あったりー!」

……私は今は……
バチッと目が合って、バッと逸らしてしまった。

「あ、私、すっぴんパジャマだった。ごめん」
お姉さんはカラカラ笑って部屋へ戻っていった。

「な、自由だろ?」
「楽しいお姉さんだね。やっぱ美人!!」

「そっかなあ。つか、昂良かっつの、二人して、骨、骨」
「あはは、確かに。頑張って素敵な友達つくろ! あ、友達ともっと深い付き合いしよっと」
「はあ」

と、塔ヶ崎くんがため息を吐いた。まあいいや、これで家族公認……と、小さく言った。
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