あさまだき日向葵
聡子がどう答えるにしろ、“付き合う”ってことを意識して貰えたらって思ってた。

「……(せん)くん……」
そのタイミングで、まさか元カノと会うなんて思わないだろう?

俺の過去の花火大会と来た相手にさえ嫉妬してた。よりによって一番近々の元カノに会うか?
聡子は元カノって知らないわけだ。自然にやり過ごしたらいいか、そう思ってパーシモンものことは『あいつ』って言ったのに『他の猫ちゃん』って返されたら、頭の良い聡子ならピンと来たかも。
ため息が出そうになる。……嫌な思い、させたいわけじゃないのに。こうなれば、正直に元カノって言うしかなかった。

せっかく、楽しかったのに。
そこからもう一度挽回しようとしたけど、聡子が再び《《浮かれる》》ことはなかった。

とはいえ、過去は仕方がないし、これが嫉妬心なら、俺のこと好きだからってことだし。

やきもち、可愛いし、嬉しい。俺はまだほんの少し、浮かれていた。

そこから、本格的に俺を避け出した聡子に、これが“やきもち”なんて可愛いもんじゃないことに気付いた。

……塾、どこだっけ?
メッセージアプリを確認すると、聡子の予定が全部把握出来る予定表があった。

やっぱり午前中に塾なんてない。だからこそ、俺たちは朝から会ってたわけだし。
どう考えても、あのせいで完璧に避けられてる。
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