あさまだき日向葵
──

「あ、会いたかったあ!」
既視感のある表情。
その次は……
「助けて、塔ヶ崎くーん!」
やっぱり、な……これ、のび太がドラえもんに言うセリフだよな?ってとこまで一緒。
ただ、今回のこのセリフは松下ではなく、細川清夏(きよか)
何だって言うんだ、全く。

女子から相談されることは馴れてる。最もほとんどは途中から俺を好きだって言い出すし、むしろ俺を好きだから、相談という形で呼び出す女子も少なくなかった。
だから、こういうの、マジ新鮮。

簡単に言うと、細川が昂良を好きになって、松下が昂良を好きなのにどうしようっていう悩み。
これが本当なら悩むわな、俺も陽太と昂良と好きな子が被ったら、気持ちどん底だわ。
あんなんだけど、あいつモテるし、鈍くもないから身を引くだろうしな。変に気遣いするタイプ。

まあ、今は違うから、仲良いんだし松下と喋ったら解決!良かったねー。細川の買い物に付き合って別れた。

でも、昂良はどうなんだろ。松下の事を好きじゃないのは知ってる。細川の事はどう思ってんだ?

細川と別れると、昂良に直ぐメッセージしといた。
『細川、男といたぞ』って。俺だけど。
『陽太じゃなくて?』って《《すぐに》》返信があって、俺だから
『違う』ってメッセージ送った。
これ、面白いことになりそうだな。文字からも動揺が漏れてる。

毎日会ってるなら、ご自分たちで何とかしてくださぁい。
好きなら好きとか、言えよ。何やってんだよ。

……いや、でも、何だ……良かったなあ。
そうか、そうか、あの昂良がねえ。
松下が昂良から陽太へ、細川が興味なかった昂良を好きになった。

このペア企画、かなり成功じゃね?
でも……女子の気持ちの変動って……すげえな。
今、心変わりとかそんなワード、俺にはキツいんだけど。
まあ、いいか。幸せになってほしいわ、みんな。
< 135 / 186 >

この作品をシェア

pagetop