あさまだき日向葵
「もう、聡子、聞いちゃいなよ。何で付き合わないのって」
舞花に言われて思う。
どうして?どうしてだろう。私が……

『もし、聡子が俺を好きなら、最終形態、付き合いたいとかないの?』
そう聞かれて
『ない』って言ったから、だとしたら?

「……聞いてみる」
そう言うと、舞花も美紘も呆れるような、安心するようなため息を吐いた。

「私、塔ヶ崎くんの友達の一人じゃあ、嫌だ!」
「そりゃね」
「撰くんにとっても、特別だよ、聡子。私、撰くんずっと見てたから、わかるよ」

私も、見てたからわかる。それに、『ちゃんと信じて』
って言ってくれた。

「ごめん、舞花」
「仕方がないよ。腹立つけど」
そう言って、笑った。

「ありがとう」

気持ちだから、仕方がない。そうだよ、好きだから仕方がないよ。

好きって、さっさと告白しちゃったけれど、塔ヶ崎くんへの気持ちに戸惑う私に

『いいや、ゆっくりで』って言ってくれた。ずっと付き合ってくれてた。
塔ヶ崎くんから手を繋いでくれた。

「私、塔ヶ崎くんにちゃんと彼女になりたいって言う!」
「うん」
「ついでに、他の子と会ったら嫌!って言うのよ?」美紘が付け加えた。
「うん、言う。全部、言う」

今からでも会いに行きたいくらいだけど、親に心配かけたくもないので、また、明日。
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