あさまだき日向葵
「聡子、眉間のシワ!」
久しぶりにそう言われてしまった。

「なんだよ、何か聞きたいなら聞けよ」
「……女の子といたって!……聞いちゃって……」

「……え? いたかな…………あ、ああ! たまたま会った日、だな」
「……手、繋いだ? その子たちと」
「へぇ!? 繋いでたって、言ってたのか?」

塔ヶ崎くん、ポカーンってしてる。
これ、たぶん、繋いでないんだろうと思う。

「違う。……繋いだのかなって思ったから聞いただけ」
「繋いでないよ。つか、繋ぐわけないだろ?」
「どうして?」
「……繋ぎたくないからだろ」

その言い方に笑ってしまった。子供みたい。あれ、そうだ。でもそんなことだ。
何で繋ぎたくないのか。でも、もし……向こうが繋いできたら?どうするんだろう。

「向こうが繋いできたら? それ、嫌じゃなかったら?」
「……嫌じゃないかもしれないけど、俺だって見境なく誰とでも繋ぐわけじゃない。それに、それ、松下と細川だわ。たまたま出会ってお茶したけど。二人とも聡子元気ー?って言ってたけど? 繋ぐと思う? 俺があの二人と」

「え、陽葵と清夏……だったの? 買い物してたって言うから…:約束してたのかなーって」
「細川が買い物するっつーから、服選んだけど。俺、そういうの好きだし。聞いてみて、二人に」

「いや、いいよ、疑ってない」

美紘が可愛い子だったって言ってた。確かに、あの二人なら可愛い。でも繋いでないと思う。むしろ、繋いだら怒りそう……。
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