あさまだき日向葵
「ははっ、なんだよ、やきもち?」
「……そう、だと思う」

正直に言うと、塔ヶ崎くんはちょっと驚いた顔をして、「そう」と言った。
何か言いかけて、口を開き、また閉じた。躊躇した後でボソリ。
「聡子としか、繋がない」

そう言われて、照れ臭いけれど、嬉しかった。
「私も、塔ヶ崎くん以外は嫌だな。あと、女の子と約束して二人で会うのも……嫌」
「わかった。しない」

じっとこっちに向けてきた綺麗な目に何もかも見透かされそうな気がして、膝の上に乗せた握りこぶしをぎゅっと、強く握っていた。……私……塔ヶ崎くんと付き合いたい。
でも、そしたら塔ヶ崎くんがどう思ってるか聞かなきゃならなくて……

うう、緊張する。見てるし。じっと見てるし。

「……何? まだ何かあるな?」
「いや、あの! 家庭教師とか! 塔ヶ崎くんぽい!」

……ああ、ダメ。聞けない。こんなにじっと見られたら変に緊張しちゃう。

「うん、夜ね。つか、ねーちゃんとにーちゃんね。マジスパルタ」
「ええ、お姉さんとお兄さん!? 」
「そ。で、妹には俺が、弟には妹が」
「効率いいね」
「学年近いと、勉強内容が近いからな。比較的旬な状態で教えて貰える」
「……なるほど」

「聡子も来る?」
「え、いいの? あ、ダメだ。最近夜出にくくて。ちょっと遅くなる日多かったから」

残念、一緒に勉強出来るとか素敵だったのに。って、すっかり勉強の話しになってしまった。
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