あさまだき日向葵
「コーヒー、アイスティー、オレンジジュース、何だろ、コレ。……えっと体に良さそうな酢。何がいい?」
「アイスティーお願いします」
「レモン、ミルク」
「ストレートで!」
「了解」

「トレー無くて悪いけど」
と、目の前に置いてくれた。下の方が磨りガラスになった高そうなグラス。割らないようにしなくちゃ。
目の前のお皿には、「こんな物しかなかった」と言って並べられた、ナッツとドライフルーツとサイコロ型のチーズ。小さなピックが添えられている。

「……これ」
「うん、完っぺきにワインのアテだな」
「……まさか、飲んでるんじゃないでしょうね?」
チラリ様子を伺うと肩をすくめてみせた。
私の顔が怖かったのか

「飲んでないっつの」と、吹き出されてしまった。
ナッツもドライフルーツもチーズも高そうなやつだなーと一通り食べてしまった。

「美味しい!」これはあれだ、素材がとてもいいやつだ。私はどうやら食レポなど出来そうにないタイプだ。

「そう? まだあるけど、ワインもあるけど」
「飲まないってば」
睨むと無邪気に笑っている。

……あれ、不思議とそんなに嫌ではなくなっていて、それはこの素敵なお家に圧倒されていたからだろうか。

猫たちは、足元にすり寄ってはくるけれど、テーブルには上らないのか。

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