あさまだき日向葵
「あ、そうだ、言うの忘れてた。今日めっちゃ毛つくと思うわ。汚れたらまずい服?」
じっと、服を見られて、自分の服のダサさに見ないで欲しい気持ちで顔が熱くなった。

「大丈夫、こんな服しか持ってないし……」
「ん? そうか。じゃあ帰るときにコロコロして」

塔ヶ崎くんは私のは服には言及しなくてほっとした。
改めて塔ヶ崎くんの方を見ると、水色のおおきめのTシャツにパンツスタイル。
広義の意味では私とさほど変わらないコーディネートなのに、格段の差があった。
今風だし、雑誌に載ってそうなくらいおしゃれだ。
……あれ、それに、髪の毛……

「髪の毛も水色?」
Tシャツの水色に比べれば銀色に近いくらい淡い色だけど。

「うん、中の方だけね。夏休みだけだけど、やってみたかったんだよね」
「夏休みだけ? 学校始まったら戻すの?」
「そうだな、やってみて満足したし、校則違反してまでのエネルギー使うことじゃない。つか、今伸びてるからそれまでに切ったらそんなに目立たないかもね」

やってみたかったから、やってみただけとあっさりそう言う。やってみて満足したから新学期には戻すと、今度は未練なくそう言う。すごく似合っているのに。
自由だな、ほんと。この人のこんなところがすごく嫌いだった。
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