あさまだき日向葵
「私は、私らしくないことをしたい。ずーっと、したいことをしなかったんだよね」
「聡子らしくないって何だあ? したらいいじゃん。何で?」
「……そうだよね、塔ヶ崎くんと私は真逆なんだと思う。やりたいか、やりたくないか、やっていいか、悪いか。なんて、考えたことないでしょ?」
「……物事の分別はついてるつもりだけど……」
塔ヶ崎くんはとても複雑そうに眉根を寄せて、私たちは二人でいたらお互い眉間に深い溝でも出来てしまいそうだ。
「眉間!」と、注意してから説明を始めた。私の、家の事を少し。
「私ね、将来は医者になれって親に言われてるの。だから、進路は医学部」
塔ヶ崎くんの綺麗な目が見開かれた。塔ヶ崎くんは医者の家系だけれど、彼は医学部には行かないだろうと思う。そんな気がする。
私が塔ヶ崎くんに嫉妬心を持ったのは、彼が自由だから。それだけじゃなくてもう一つ大きな理由があった。こうやって塔ヶ崎くんと向き合って初めて気づく嫉妬心。
医者の息子であるという恵まれた家柄。経済力。
勝手だなあとは思う。でもこれも自分ではコントロールが出来ない、“仕方がない感情”の一つだと思う。
今の、進路を打ち明けたことで、私が塔ヶ崎くんを嫌いだと思っていた訳が塔ヶ崎くんにも伝わってしまったかもしれない。
「聡子らしくないって何だあ? したらいいじゃん。何で?」
「……そうだよね、塔ヶ崎くんと私は真逆なんだと思う。やりたいか、やりたくないか、やっていいか、悪いか。なんて、考えたことないでしょ?」
「……物事の分別はついてるつもりだけど……」
塔ヶ崎くんはとても複雑そうに眉根を寄せて、私たちは二人でいたらお互い眉間に深い溝でも出来てしまいそうだ。
「眉間!」と、注意してから説明を始めた。私の、家の事を少し。
「私ね、将来は医者になれって親に言われてるの。だから、進路は医学部」
塔ヶ崎くんの綺麗な目が見開かれた。塔ヶ崎くんは医者の家系だけれど、彼は医学部には行かないだろうと思う。そんな気がする。
私が塔ヶ崎くんに嫉妬心を持ったのは、彼が自由だから。それだけじゃなくてもう一つ大きな理由があった。こうやって塔ヶ崎くんと向き合って初めて気づく嫉妬心。
医者の息子であるという恵まれた家柄。経済力。
勝手だなあとは思う。でもこれも自分ではコントロールが出来ない、“仕方がない感情”の一つだと思う。
今の、進路を打ち明けたことで、私が塔ヶ崎くんを嫌いだと思っていた訳が塔ヶ崎くんにも伝わってしまったかもしれない。