あさまだき日向葵
7.花火
「久しぶり過ぎて、忘れちゃった」
浴衣は母親が動画を見ながら何とか着せてくれた。帯は元々形が出来たものだったのでそう時間はかからなかった。見よう見まねで片方だけ髪を上げて、そこにクリップになった造花の髪飾りをつけた。
「少しくらい、遅くなってもいいからね」
と、言われてしまって驚く。
「遅くって……な、何時?」
「まあ、そこは任せるわ。連絡はしてね」
「うん、ありがとう! お母さん、ありがとう!」
「……楽しんでね」
母親が笑顔で送り出してくれた。普通は遅くならないようにって言うんだろうな。私は今までこんなことがなかったから、逆に心配されてたのかもしれない。
浴衣姿の人がチラホラ目につく。みんな、花火を見に行くのだろうか。可愛いな、あの髪型。あの浴衣も可愛い。気になってつい目で追ってしまう。男子の浴衣も……何かいいな。
親子連れ、男女のグループ、男子だけ……。
でも、カップルが一番多い。
一人で歩く私の隣を、楽しそう喋りながら通りすぎていく。二人の間にある手は繋がれていた。あっちのカップルも、そっちのカップルも。花火が上がるだろう中心部へ向かえば向かうほど、人が増えてくる。まだ花火まではかなりの時間があるのに……外だってまだ明るい。
浴衣は母親が動画を見ながら何とか着せてくれた。帯は元々形が出来たものだったのでそう時間はかからなかった。見よう見まねで片方だけ髪を上げて、そこにクリップになった造花の髪飾りをつけた。
「少しくらい、遅くなってもいいからね」
と、言われてしまって驚く。
「遅くって……な、何時?」
「まあ、そこは任せるわ。連絡はしてね」
「うん、ありがとう! お母さん、ありがとう!」
「……楽しんでね」
母親が笑顔で送り出してくれた。普通は遅くならないようにって言うんだろうな。私は今までこんなことがなかったから、逆に心配されてたのかもしれない。
浴衣姿の人がチラホラ目につく。みんな、花火を見に行くのだろうか。可愛いな、あの髪型。あの浴衣も可愛い。気になってつい目で追ってしまう。男子の浴衣も……何かいいな。
親子連れ、男女のグループ、男子だけ……。
でも、カップルが一番多い。
一人で歩く私の隣を、楽しそう喋りながら通りすぎていく。二人の間にある手は繋がれていた。あっちのカップルも、そっちのカップルも。花火が上がるだろう中心部へ向かえば向かうほど、人が増えてくる。まだ花火まではかなりの時間があるのに……外だってまだ明るい。