あさまだき日向葵
「塔ヶ崎くん、家にいると思うけど電話して聞いたら? それとも私がここで掛けようか?」
「何それ。自分の方が仲良いっていいたいの? 性格わっる! つか、その見た目で性格悪いとか、最低。撰くん《《断らない》》からあんたといたんでしょ。行こ」

私を頭の先から爪先まで見ると、バカにするように鼻で笑って談話室へと入った。
「何あれ、マウント? 服も中身も顔もダッサイの」と、聞こえてきた。
今から私の悪口で散々盛り上がるんだろう。
いつもならあんなの気にならないのに……。

美紘の心配そうな顔に
「やっちゃった」と、自虐的に笑った。

何で手を繋いだのかって、繋ぎたいからに決まってる。でも、何で繋ぎたいか……は……

私が、塔ヶ崎くんのことを『好き』だって言っちゃったからじゃないかな。
塔ヶ崎くんは……『断らないから』。だからだと思う。その苛立ちを彼女たちにぶつけてしまった。

最低。そんなの、自分でもそう思うわ。

「ねえ、聡子、外行かない? とても勉強する気にはなれないからさあ」

そうか、あんなの聞いちゃったら動揺するよね。
「ごめん、美紘……。巻き込んじゃった」
「いいよ、一人の時じゃなくて良かったよ聡子。ずるいよ3対1なんて」

そう言ってくれた美紘に少しだけ笑うことが出来た。
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