あさまだき日向葵
「花火大会、二人で行ったんだ」
「そう、それをあの子たちに見られたってわけ」
「なるほど。あの真ん中の気がキツそうな子、絶対塔ヶ崎くんのこと、好きだよね」
「……そう、思うよね、やっぱり」
「でも、勝手だよね。好きなら自分も花火大会誘えば良かったんじゃんね。それとも誘って断られたのかな?」
「え、断らないと思うよ、塔ヶ崎くん」
「だからー、聡子と約束してたから断ったとか?」

そうなのかな……。だとしたら、もしあの子が先に誘っていたら塔ヶ崎くんは断らなかったのかな。

「わかんない」
「うーん、普通に考えて花火大会誘ってOK貰えたら期待しちゃうよ。しかも手、繋いだんでしょ? それってもう付き合ってもおかしくない。あー、聡子とこんな話出来るなんて思ってもみなかった!」
美紘がさっきまでハラハラしてたとは思えないくらいキラキラした顔でそう言った。
「付き合うっていうのがあまりよくわからなくて。付き合いたいのかもよくわからない」
「好き……なんだよね」
「うん、好き」

それは即答出来る。

「塔ヶ崎くんが誰かと付き合ってもいいの?」
「……嫌」

これも即答出来てしまった。
「もしかして、好きで満足してるの?」
「……そうかも。何か好きなことに驚いて、そこで思考が止まっちゃってるの」

自分の言葉に、自分ですごくしっくりしてしまった。


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