あさまだき日向葵
「元彼が高校生だなんて言うから驚いたけど……あんなタイプだったとはね」

……あ、塔ヶ崎くん……見た目は派手だし、パッと見、そんなにいい印象持たないかも。女子からしたら格好いいんだけど。誤解、されたくない!

「あの人、髪も青いし、顔が綺麗だから、あんなチャラそうだけど、真面目で……あ、授業は、たまにサボるし、寝たりもするけど、面倒見もいいし、優しいし、お、おにぎりも作れるし、ああ見えて、すっごい良い人なのっ!」

先生のポカンとした顔が目に入り、恥ずかしくなって俯いてしまった。
「見た目より……良い人……なんデス」

「ぷっ、うんうん。好き、なんだね。わかるよ、きっとそうなんだろうね。ちょっと複雑だけど……」
「……はい。私も……複雑、です」
「俺がいるから、大丈夫。ね?」

そ、そうか。あの人……めぐ美さんには、先生がいるから……大丈夫。どうにかなることはないってこと?
塔ヶ崎くんにも私がいるから……とは言えないけれど……。

「先生も、手、繋げるように頑張って下さい!」
そう言うと今度は笑われてしまった。

他の先生たちが入ってきて、私は頭を下げて急いで外へ出た。

はあ、よくわからない励ましを年上の慣れてる人に初心者の私がしてしまった!恥ずかしい。

ビルの階段を、とぼとぼ下りる。外の熱気がもわっと顔を包んだ気がした。すごい、暑い。

「待って、ほら、忘れ物!」
先生に声を掛けられて、質問しに行ったことなんてすっかり忘れていた。



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