公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
「それに、こうしてきみとすごすことはいい気分転換になる」
「はぁ……」

 やはり、そうとしか反応のしようがなかった。

 それならば、寝坊するとかダラダラするとか花の手入れをするとか、他に時間をすごす方法はいくらでもあるでしょうに。

 だけど、せっかく送ってくれるというのだし、ここは素直によろこんでおいた方ががいいわよね。

「ありがとうございます。うれしいです」

 笑顔でお礼を言ったつもりだったけれど、笑顔が強張っていることが自分でわかった。

 そのあと、彼と話をした。その話の中で、彼もまた読書が大好きなことがわかった。

 彼は、おもに軍事関係の資料や歴史書や戦記物といった小説が一番好きらしい。それから、ハードボイルド系やバイオレンス系の小説も読むのだとか。
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