公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
 窓外に視線を走らせると、緑あふれる王立公園が広がっている。その緑のカーテンの向こう側に、王立図書館の立派な建物が見える。

「公爵閣下、わざわざ送って下さってありがとうございました」
「どういたしまして」

 そのタイミングで扉が開いた。

 イーサンが手を差し出してくる。

「イーサン、いい」

 公爵はそう言うと馬車から降り、イーサンにかわって手を差し出してきた。

 またもや心臓がドキドキばくばくしてきた。

 大好きな本のことを話している間は忘れていたのに。
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