公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね

もうお目当ての人物が見つかったの?

「何でも屋」の事務所でわたしを待っていたのは、胸に抱えられるほどの大きさの紙袋二つだった。

 それを見た瞬間、ときめいた。紙袋の中身が何かわかったからである。

 ときめきと興奮の中、紙袋を開けた。

 途端に、この世の中で最強かつ最高のにおいが鼻腔をくすぐった。もう一つの紙袋を開けると、こちらも同様にいいにおいがする。においだけで胸が熱くなってしまった。

「おまえの為に早朝から並んで来た」
「いや、ボス。並んだのは、あなたではないでしょう? ぼくと兄さんだ」
「そうそう。久しぶりに行列に並んだよ」

 ニヤニヤ笑いのボス。それから、知的なニヤニヤ笑いのエドモンド兄弟。

 そうだったのね。わたしの為に、わざわざ早朝から行列に並んでくれたのね。
< 127 / 356 >

この作品をシェア

pagetop