公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
 当然の言葉である。覚悟はしていたし、想定内でもある。

 問題は、わたしの心である。

 彼をだましていることに対して、痛くて仕方がない。

 すべてを話さなければならない。たとえ立て替えてもらった借金を返すことになろうとも。あらゆる援助がなくなろうとも。

 いつかは話さなければならない。

 その決意とともに、わたしは彼に嫁いだ。 


 そして、ウインズレット公爵邸に赴いて彼に会った瞬間、彼は銀仮面の下の形のいい口をへの字に曲げ、言い放ったのである。
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