公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
 自分で言いながら、胸がチクチク痛むことに気がついた。

 姉を想い続ける公爵のことを憐れんでのことではない。姉の不貞を憤っているわけでもない。

 一人の女性として、公爵が姉のことを想い続けていることが口惜しくてならない。

 こういうことを嫉妬というの?

 認めたくはないけれど、自分でもそれがしっくりくる感情だと思う。

「ミユ、お姉さんに最後に会ったのは? その死の知らせを受け取ったどのくらい前?」

 ジェフに尋ねられた。

 さほど考える必要はない。
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