公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
 時間が出来てしまったわけよね。

 だったら、せめて図書館か公園といった静かなところで、ゆっくりじくり情報を整理しよう。それから、考えよう。

 まだ何か自分に出来ることがあるかもしれない。

 たとえば、ジェローム・ダンヴィルに偶然出会う方法を模索するとか?

 ダメダメ。先走ったり自分勝手な行動をするのは、小説の中のヒロインだけよ。

 そういうのは、ほとんどが危険な目にあうの。小説の中では、ヒーローやそれに近いカッコいい男性が救ってくれる。そして、なぜか口づけとか抱きしめられていい仲になって終わってしまうという王道の筋書きなのよね。

 だけど、現実は違う。

 ボスやエドモンド兄弟がドタバタやって来てモタモタ救ってくれる。でっ、嫌味タラタラで叱られる。ヒロインのようにしあわせな気分になるのではなく、どん底な気分になるだけ。

 それでも、考えるだけならいいわよね?
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