公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね

公爵のお誘い

 いろいろ考えていたものだから、王立公園にやって来ていることに気がつかなかった。

 いつも公園内の広場にサンドイッチやレモネードやスイーツ系や揚げパンの露店が並んでいるが、今日はスイーツ系のお店しか出ていないみたい。

 足早に公園内を歩き、木々の間を抜けると王立図書館が見えてきた。

 すると、ちょうど馬車が図書館の前に停車するのが見えた。

 その豪華きわまりない馬車は、つい今朝乗ったばかりのウインズレット公爵家のものに違いない。

 どうやら、わたしの第六感は当たったみたいね。

 って、そんな悠長なことを言っている場合ではない。

 馬車は停車し、馭者台からイーサンが飛び降りるのが見える。
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