公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
 全速力で走りだしていた。こんなちんちくりんでも、走るのは速いのよ。「何でも屋」のエドモンド兄弟より、ずっとずっと速いのである。

 というわけで、あっという間に馬車のすぐ近くにいたった。

「ミユ様」

 イーサンはすでに気がついていたみたい。可愛い顔に可愛らしい笑みを浮かべて迎えてくれた。

「ミユ」

 そして、馬車から降り立ったばかりの公爵もまた気がついていたのね。

 銀仮面の下にやわらかい笑みが浮かんでいる。
< 143 / 356 >

この作品をシェア

pagetop