公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
 馬車が停車すると、イーサンがすぐに扉を開けてくれた。同時に、公爵が降りて手を差し出してくれた。

 このようにエスコートしてくれることに慣れないわたしは、オドオドとその手を取ってしまった。

 公爵は、それに気がついているとしても軽く手を添えてちゃんと導いてくれた。

 コック服姿の料理人たちが、玄関で出迎えてくれている。

 すると、コック服にコック帽姿の料理長らしき人がこちらに近づいて来た。

「将軍閣下、奥様。お待ちしておりました」

 その料理長らしき人を、頭のてっぺんから軍用の靴の先まで何度も見返してしまった。

「まあっ! ハミルトンさんにそっくり。もしかして、双子のご兄弟ですか?」

 おもわず叫んでいた。

 その料理長らしき人は、ウインズレット公爵家の料理長ハミルトン・ブロックに瓜二つだからである。
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