公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
「閣下。テラスに昼食の準備が整っております。大佐も『レディ』を連れ、テラスに行っているはずです」
「わかった。すぐに行こう」
「では、テラスで」

 リチャードは、わたしに目礼をしてから料理人たちを連れて奥へ入ってしまった。

「ミユ、行こうか。会ってもらいたいものがいるんだ」

 公爵はそう言いながら踵を返すと、歩き始めた。
 
 心臓が飛び跳ねた。

 いよいよ、ね。

 絶望以上のものを感じる。
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