公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
 耳たぶまで熱い。

「ミユ、すまなかった。大丈夫か?」
「は、は、は、はい。だ、大丈夫です。す、すみません」

 きょ、距離が近すぎる。近すぎるというよりかは、距離がない。

 上半身を無意識の内にのけぞらせていた。

「謝らなくていい。急に立ち止まったおれが悪かった。きみは悪くない」
「すみません」

 謝らなくていいと言われたばかりなのに、動揺しているせいもあってまた謝ってしまった。

 いずれにせよ、謝罪はわたしのアイデンティティみたいなもの。

 だから、謝るなと言われても困ってしまう。
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