公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね

ウインズレット公爵家にて

 ウインズレット公爵家を訪れたのは、姉の葬儀以来である。とはいえ、姉の葬儀からまだ二週間しか経っていない。
 
 彼女の部屋は、まだ彼女が生きていたときのままであった。

 公爵は、姉の持ち物をどうにかしようという気にはならないらしい。

 まぁ、当然のことかもしれないけれど。

 そして、わたしにその姉の持ち物を使えということなのでしょう。

 少し意外だった。あれだけ姉に固執するので、てっきり「彼女の持ち物には触れるな」と言って。姉の持ち物は、室内の飾り物と化すのだとばかり思っていた。
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