公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
「おじさん、ごめんよ。(あるじ)以外のおじさんと仲良くしたら、(あるじ)が怒るんだ。彼を怒らせたら、ぼくだけでなくおじさんもひどいめにあわされてしまう」

 軽くあしらってもまだ、しつこく言いよってくるおじさんがいる。そういうしつこいおじさんには、そのように告げることにしている。

 強面の(あるじ)に飼われている少年。

 そう装えば、ほとんどのおじさんが退いてくれる。

 が、それでもなお言いよってくるおじさんがいる。

 そういうしつこすぎるおじさんには、「朝まで金貨五枚」などと相手の容姿を見て臨機応変にふっかける。

 それでもなお言いよってきたおじさんは、いまのところは一人もいない。

 今夜は、(あるじ)作戦がうまくいっている。

 三人のおじさんが、虚しく去って行った。

 なんなら、変装していないわたしとどう?

 って言えるほどの器量ではないのが悲しすぎる。
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