公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
 姉の死後、一度たりとも涙を流したことがなかった。それなのに、なぜか涙が溢れ続けた。もはや涙をとどめることは出来ない。

 グスグスと涙を拭きながら、ズルズルと鼻をすすり上げる。そうこうしている内に、カート上にあったすべての食べ物はお腹におさまった。

 葡萄酒の瓶には手をつけなかった。

 そのかわり、ピッチャーに冷たい水が入っていたのでそれを飲んだ。

 食べた後は、自分でカートを押して返しに行った。
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