公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
「クソッ! 逃げ足の速いガキだぜ」

 そのタイミングでうしろから声がした。

 わたしを追ってきている連中が追いついたようである。

 ジェロームと三名の男たちは、途中で先回りしたのね。

 彼らは、この西街区を知り尽くしているということになる。

「んんんんんん? これはこれは。ガキだとばかり思っていたが、ミユ・ギャラガーじゃないか」
「なんだと? あのギャラガー?」
「驚いた。ギャラガーとはな」

 ジェロームが断言すると、前後の男たちがざわめき始めた。

 というか、わたしが一番驚きなんだけど。

 どうして、彼らがわたしのことを知っているわけ?

 もしかして、わたしって有名なの?
< 200 / 356 >

この作品をシェア

pagetop