公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
「間違いない。始末しようと顔を確認していたからな。が、うまいこと将軍の懐に入っていやがった。なるほど。こうしておれたちに接触を試みたのは、あの『クソ女』と同じくうまい汁でも吸おうというわけか? 稼ぎたいってわけだ。それとも、脅しをかけようとでもいうのか? 『クソ女』からすべてをきいて、おれたちを脅して金貨でもせしめようとでも?」

 わけがわからなさすぎるから黙っていると、ジェロームは自分で推測しながらどんどん興奮していく。

 いるのよね。自分の言葉で腹を立てたり悲しんだりする人。

 こういう人は、そっとしておかないととばっちりを受けてしまう。

 それはともかく、彼の言うところの「クソ女」とは、姉のことに違いない。

 姉のことを「クソ女」という認識は、わたしも同じだわ。

 その点だけは、彼とわたしは気が合っているみたいね。
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