公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね

ミユ、追い詰められる

「どうした? おれたちのことが怖すぎて、口がきけないのか? それとも、なにかたくらんでいるのか? どちらにせよ、ここから無事に逃げられると思うなよ」
「バカ言わないちょうだい。あなたたちのことが怖いですって? 笑わせるわ。それに、お(つむ)が弱いのはあなたたちの方よ。わたしがたった一人で、あなたたちの前にノコノコ姿を現すと思う? なんの備えもなしに? わたしが一匹狼だって、どうして自信をもって言えるわけ? 多少は調べたのでしょうけれど、調べ方が足りないわよ。 その自信がどこから出てくるのか、不思議で仕方がないわ」
「なんだと?」

 ボスから教えられている。

 金がなくてもあるように振る舞え、怖くても虚勢をはれ、と。
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