公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
「ただのハッタリだ」

 ジェロームは、不安を払拭するかのように断言した。

「そう思いたければ思えばいいわよ。せっかく亡き姉のかわりに役に立てれば、と思ったのに。姉妹ともどもそんなふうに思われているなんて心外だわ。わたしたち、相容れないことがわかったみたいね」

 もう少し情報が欲しい。だけど、下手なことはいえない。

 言葉を選びながら、しかも相手の表情をうかがいながら話すことは、異常に疲れてしまう。

「ふんっ! どこがお役に立つ、だ? 少なくとも『クソ女』は、最初だけでまったく役に立たなかった」
「だから殺したの? 役に立たなかったから、殺したわけ?」
 
 自分の声のトーンが落ちたのを感じる。
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