公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
「こんなくだらんやりとりは時間のムダだ。おいっ、こいつを捕まえろ。さっさと行くぞ」

 なんですって?

 いまからなのに。まだなんの情報も得ていないのに、もうエンディング?

 わたしの内心の動揺をよそに、前にいる三人がこちらに近づいてきた。

 三人とも気合充分。わたしを捕まえる気満々みたい。

 それは、簡単よね。こんなちんちくりんですもの。大きな男三人でかかったら、あっという間にねじ伏せられるわよね。

 冷静に分析していると、三人は無言のまま飛びかかってきた。

 三人の六本の腕が当時に伸び、わたしの身体のどこかをつかもうとする。

 体が勝手に動いていた。

 つまり、六本の腕を飛び退って見事なまでにかわしたのである。

 三人は目標物を失い、失速しておもいっきり石畳の上に転倒した。
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