公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
 噂話だとしても悪口だとしても、盛り上がっているところにズカズカ入って行くのってバツが悪すぎる。

 わたしだけでなく、彼らだってバツが悪いでしょう。

 いまならまだ彼らに気がつかれていない。いまのうちに、そっとこの場を立ち去ればいい。

 とはいえ、ここにどれだけ置いてもらえるかわからないけれど、しばらくここですごすことになるのなら、彼らとお近づきになっておいた方がいいにきまっている。

 そうよね。いまのうちに彼らと親しくなっておこう。先延ばしにすればするほど、親しくなるのは難しくなるでしょうから。

 そう結論にいたった。同時に覚悟をきめる。

 そうすれば、即行動がモットーのわたしである。

 彼らに堂々と声をかけることにした。
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