公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね

公爵閣下登場!

「バカ野郎っ! なにをみっともないことをやっているんだ」

 ジェロームが怒り狂うのは当然よね。わたしが彼でも怒り狂ったわ。

 わたしにかかってきた三人は、ヨロヨロと立ち上がった。

「どけっ! おれがやる」

 そして、ジェロームは自分でやると言いだした。

 彼みたいな中途半端なリーダーは、こういうシーンではたいてい部下にやらせて文句ばかりのたまうのに、少しだけ意外だった。

 と感心した瞬間、彼は石畳を蹴っていた。
< 210 / 356 >

この作品をシェア

pagetop