公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
 公爵ったら、いくらなんでもわたしに気を遣いすぎだわ。それとも、一応わたしは公爵の妻だから、ウインズレット公爵家の体面上必要だったのかしら?

「やっていられるかっ! あばよっ」

 ジェロームは、そう吐き捨てると踵を返して凱旋門を潜り抜け、あっという間に消えてしまった。

 なんてことかしら。

 ジェローム・ダンヴィル。あなた、諦めっぷりからの逃げっぷりがよすぎるわ。いっそ清々しかったわ。

 気の毒なのは、彼の仲間たちね。
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