公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね

「ミユ様、ミユ様。父のことはともかく、閣下とぼくは従兄弟どうしなのです。ちなみに、ぼくのグッドフェローという名も職務上のものです。亡き母の出身の家名です」
　
　イーサンが可愛らしく報告してくれた。

「まあ、三百歩譲ってそこは納得しておくわ」

　従兄弟なら血縁関係があるというだけで、強面や可愛いといったジャンルが違っていてもおかしくない。

「それで？　まさかジェフとネイサンまでウインズレット公爵家の所縁の者、なんてことはないわよね？」

　控えめに佇んでいるエドモンド兄弟を指さし、ボスに尋ねた。

「彼らは、現役の情報部の将校だ。諜報員として飛びまわってもらっている」

　なぜか公爵が答えてくれた。

　しかも、どこか誇らしげである。