公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
 わたしがボスと出会い、「何でも屋」で働き始めたのは偶然ではなかった。姉が彼らの調査対象になったとき、わたしも同様に疑われたらしい。

 わたしが仕事を探しているタイミングで、ボスがわたしの目の前に現れたというわけ。偶然を装って。

 そして、わたしは諜報活動にはまったく関わっていないことがわかった。そうすると、今度はわたしがとばっちりを受けないよう守る必要が出てきた。

 姉は、いずれはジェロームたちに切り捨てられる。それが物理的にか、それ以外の方法でかはわからない。いずれにせよ、駒は簡単に捨てられる。その際、エルガー帝国の諜報員たちにとって、わたしも邪魔な存在になるかもしれない。

 実際、彼らはわたしをどうにかしようとしていた。

 だから、ボスはわたしを側において、エドモンド兄弟とともに守ってくれていた。
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