公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
 いま立っているのは、この屋敷のメインの廊下のようである。彼らの向こう側は、ずっと奥まで廊下が続いている。等間隔に窓があるに違いない。月光が射し込んでいてボーッと設置している彫刻や置き物をボーッと浮かび上がらせている。

「この度はご愁傷様です」

 ややあって、一番年かさの執事が口を開いた。

 シルバーグレイで渋カッコいい。

「執事のモーリス・ワイマンと申します」

 彼は、他の使用人たちも紹介してくれた。

 だから、一人一人と挨拶をかわした。ぎこちなくだったけれど。

 まぁ、それは仕方がないわよね。
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