公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
「叔父やイーサンから、『あきらめろ』だの『脈なし』だのと揶揄われている。それから、『まわりくどい』だとか『もっとやさしく』だとも言われている。おれは、その、なんというか、自分で言うのもなんだが不器用で不慣れで……。だが、きみの為ならがんばる。いいや。がんばっている。きみの為に『レディ・ローズ』を私費で購入して調教した。きみが荒っぽい仕事をしなくてすむよう、王宮図書館の館長をなかば脅し、そこで仕事が出来るようにした。おれの部屋の本は、きみがやってくる前に屋敷内の図書室の一部を移動させておいたものだ。読書好きのきみと本の話が出来るよう、さまざまなジャンルを何日も徹夜をして読みまくった。サイゼリアだってそうだ。花など触ったこともなかったが、きみが実家の自室に花をかざっているときいて、駐屯地から移したのだ。そして、庭師に叱られながら育てた。それもひとえに、きみがやってきたときに見てもらう為だ。花束にして渡せば、きみは笑顔で受け取ってくれる。そのきみの笑顔を想像したら、庭師に叱られてもがんばれた。それから、まだまだあるが……。ミユ、おれは、おれはきみが……」