公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
「公爵閣下、どうか落ち着いてください。息をし忘れています。酸欠で倒れてしまいますよ。いっしょに深呼吸をしましょう」

 いろいろ彼にツッコみたいけれど、必死に言葉を紡いでいる彼の顔が真っ赤から真っ青にかわった時点でヤバいと判断した。

 大きく息を吸い込み、肺の中がからっぽになるまで吐き出す。それを何度か繰り返した。

 公爵は、素直に真似している。
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