公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
 彼女の堕胎手術のこと、それにいたる不貞の数々、そして、盗みや横領。

 あれやこれやで頭を悩ませていたけれど、すべて把握されていたわけね。

 結局、姉はエドガー帝国の諜報員ジェフリーや公爵たちに踊らされていたのね。

 そう理解すると、スッキリした。気分的に、である。

「それでしたら、公爵閣下はちゃんとした妻を迎えるわけですか?」

 姉を想い続けているのではなければ、当然そうなるわよね?

 そう思いついた瞬間、胸に痛みが走った。鋭い痛みである。
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