公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
 彼は黙り込んだ。わたしもどうしていいかわからない。

 彼の言葉を信じたい。だけど、やはりこんなちんちくりんの没落男爵令嬢とでは、釣り合うわけがない。

 これまで、残念すぎるけれど男性との関係で傷ついたことはない。しかし、小説で読んで知っている。その世界では、ヒロインはズタボロになる。

 正直、自分がそんなヒロインのようになったら耐えられない。出来れば回避したい。

 そんなことを考えていると、彼との距離がなくなっていた。
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