公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
 銀仮面のない彼の素顔は、醜悪だとか無残だとかまことしやかに噂されている。

 たとえそうであっても、というか、酷い顔のほうがわたしと釣り合いがとれてわたし的にはいいけれど、とにかく一度でいいから本物の彼を見てみたい。

 彼を試す意味でも、という気持ちもある。

 ほんとうにわたしのことを想ってくれているのなら、わたしの頼みをきいてくれるのでは? と。
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