公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
 第三者的な目で見れば、顔をそむけたくなる行動だったのに。

 いずれにせよ、そのうちどちらも極力思い出さないように努めた。つまり、記憶の彼方に葬り去ろうというわけである。

 このときの一連のやり取りは、語られることのないわたしたちの歴史となってしまった。

 まあ、それはそれでいい思い出なのかもしれないけれど、やはり恥ずかしすぎたことにかわりはない。

 すくなくとも可愛らしいイーサンやボスにはぜったいに知られてはいけない。

 彼とわたしの間で、それが暗黙の了解となった。
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