公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
 いいえ、訂正ね。

 気にしている。すごく。めちゃくちゃ気にしている。

 だけど、その気にしている内容は、彼らがわたしをだましていたとかごまかしていたとかというものではない。

 それはまったく気にならない。

 わたしだって「何でも屋」にいたときは、だれかをだましたりごまかしたりしてお給金をもらっていたから。

 そんなことより、彼らがファース王国軍情報部の現役、もしくは元諜報員ということが気になって仕方がない。

 だってクールだし、憧れてしまうから。

 しかも、場合によっては潜入することもあるらしい。たとえば、他家や機関や他国にも。

 料理長や料理人、見習いの男の子たちもまた諜報員で、こちらは料理人として雇われるのだとか。

 料理人の需要はかなりあり、どこでもすぐに潜り込める為仕事がしやすいのだとか。

 執事役のモーリス曰く、わたしがウインズレット公爵家にやって来てから、みんなの関心はわたしに向いていたとか。
< 266 / 356 >

この作品をシェア

pagetop