公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
 そういえば、来た当初、みんなコソコソ話をしていた。そのとき、わたしの悪口を言っているのだと思っていた。だから、自分の居場所をつくろうと出来るだけスキンシップをとろうと考えた。みんなと積極的に話をするようにした。

「どうすれば閣下が奥様とほんとうの意味で夫婦になれるのか。そうなる為には、自分たちに出来ることはないのだろうか。そのように話をしていたのです」

 モーリスが説明しかけると、公爵は慌てて言った。

「待て待て。ミユも監視するとは伝えたが、それがどうして『ほんとうの意味で夫婦になれるのか』ということにつながるのだ?」
「閣下。閣下はわかりやすいのです。いえ、他のことは違います。ですが、ミユ様のことになると、閣下はまったく異なります。あまりにもわかりやすすぎて、われわれがそれに気がつかないふりをするのが大変でした」
「バカな」

 公爵は絶句したけれど、顔の下半分は真っ赤になっている。
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