公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
「それにしても、ブレントン様も大変よね。作戦の為だけに姉と夫婦のふりをするだけでも面倒なのに、これだけの衣服を買い与えなければならなかったのですものね」

 ドレスは、正装や普段着用と山ほどある。

 その一枚一枚を見ていきながら、溜息しか出ない。

 デザインも色合いも「勘弁して」と言いたくなるものばかり。だけど、生地やつくりは超一流。やはり、このままクローゼット内に放置しておくのはもったいなさすぎる。

 姉は「美姫」と謳われるほど美しかったけれど、背はそこまで高くはなかった。それでも、丈などお直しは必要である。
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