公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
 なんらかの役人たちは、わたしたちからするとなにかと「仕事が遅い」とか「さぼっている」というイメージが強い。わたしなんて、かなり強くそのイメージがある。

 とくに手続きやら問い合わせやらのときには、永遠と思われるほど待たされたりする。

 ジェロームのことに関しては、毎度あっという間に手続きが行われ、引き取りに来るらしい。

 いつものこととはいえ、その迅速な行動にイーサンも苦笑を禁じ得なかったという。

 とはいえ、今回はこちらも着手するのがはやかった。

 まったく尋問が出来なかったわけではない。

 イーサンは、いつもとは違って諜報活動というよりかは公爵とわたしの殺害をくわだてたという件でジェロームたちを追い詰めようとした。
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